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JA秋田厚生連ニュースダイジェスト JA秋田厚生連グループ(病院・本所)の取り組みやイベントなどをお伝えしていくコーナーです。

ニュースダイジェスト

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2025年4月 《JA秋田グループ広報誌「かけはし」2025年4月号》

「特集」令和7年度事業計画のポイント

地域に根ざし、身近で信頼される「心の通った医療」の実践
 『入院診療への注力/効率的な医療提供体制の構築』

JA秋田厚生連

1.厚生連を取り巻く状況について

 秋田県厚生連を取り巻く環境は、少子高齢化の進行による人口減少や、新型コロナウイルス感染症の影響後の患者の受診行動の変化により、医療需要が減少するという厳しい状況にあります。特に、生産年齢人口の減少や都市部への人材集中により、看護師をはじめとする医療スタッフの不足が深刻化しており、安定した医療提供体制の維持が大きな課題となっています。
 また、近年の材料費や光熱費の高止まり、さらには諸物価の高騰により、医療機関の費用負担が増加しています。しかし、国が一律に設定している診療報酬にはこうした費用上昇が十分に反映されておらず、医療機関の収支を圧迫する要因となっています。その結果、医療の質の低下や医療従事者の待遇への影響が懸念されています。
 さらに、医療業界においてもDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が求められており、AIやIoTといったデジタル技術を活用することで、診療の効率化や患者の利便性向上が期待されています。
 これらの課題に対応するため、医療人材の確保・育成や医療DXを推進しつつ、地域住民がより安心して医療を受けられる体制の構築を目指してまいります。

2.第二期経営健全化計画の3年目

 令和4年度に始まった4ヵ年の中期計画「第二期経営健全化計画」は令和7年度が最終年度となりました。
 最終年度となる令和7年度は「入院診療への注力」、「効率的な医療提供体制の構築」を重点事項として掲げ、役職員が一丸となって取り組んでいきます。
 また、患者やその家族の気持ちに寄り添い、身近で信頼される「心の通った医療」の実践を重視し、引き続き、公的医療機関として、各地域における中核的医療機関として、安全・安心で質の高い医療を持続的かつ安定的に提供していく使命と責務を果たしてまいります。

3.事業方針

(1)健全な経営・財務基盤の確立

経営の健全化

 地域の中核的医療機関として、入院を中心とした専門性の高い医療を拡充するとともに、人的資源を適正に配置し、効率的な運営を図ることで、安定した病院経営の構築を目指します。

効率的な業務執行体制の構築

 業務の最適化へ向けて、本所が中心となり各病院と連携しながら業務改善を積極的に推進していきます。特に看護部門においては、他職種へのタスクシフトを実施することで、看護業務のスリム化を進め、効率的な医療サービスの提供に努めていきます。また、DXを活用した業務改革を推進し、医療の質向上と組織全体の生産性向上につなげます。

収益確保対策

 医療機関や介護施設との連携を深め、新患者の受け入れ体制を強化していきます。そのために、地域医療連携室や入退院支援室、医療福祉相談室を含めた院内外の関係機関との連携を強化し、スムーズな受け入れや適切な支援を提供できる体制を整えていきます。

費用適正化対策

 持続可能な運営のため費用適正化を進めていきます。最大固定費である職員の適正配置については、今後2年間の要員計画に基づき、給与費や委託費を見直し、効率的な業務体制を構築していきます。事業経費全般においては、コスト意識の徹底、医薬品・材料の統一や共同購入、さらに、病院間比較による費用見直し行い、経営の効率化を図っていきます。

施設・設備の効率的な整備

 限られた医療資源を有効活用するため、病院機能に見合った医療機器の整備を計画的に進めていきます。地域住民に最良の医療を提供するとともに、過剰な設備投資を避け、費用対効果の高い運用を目指します。

(2)地域医療構想を見据えた医療提供体制の見直し

機能分化と地域医療連携の推進

 秋田県が策定した「第8次秋田県医療保健福祉計画」(令和6年度から令和11年度までの6ヶ年を計画対象)や地域医療構想調整会議の議論を踏まえ、現在の医療機能を維持しつつ、外来機能の分化や医療連携を進め、より効率的な医療提供体制を構築していきます。

病床の機能・規模の適正化

 人口減少や少子高齢化に伴い、急性期患者は減少し、回復期患者が増加すると予測されています。こうした医療需要の変化を踏まえ、患者数に見合った効率的な病棟運営を実現するため、病床の機能や規模を適宜見直していきます。

外来機能の分化促進

 入院診療を基盤としつつ、症状が安定した患者については、地域の医療機関へ積極的に逆紹介を進めていきます。ただし、地域の実情によっては、かかりつけ医機能も維持しながら、地域の方々に最適な医療を提供するよう努めます。

(3)患者の視点に立った魅力ある病院づくり

安全で安心な診療体制の構築

 病院のネットワークを更新し、システムのセキュリティ対策を強化します。不正アクセスやサイバー攻撃から守ることで、信頼性の高い医療環境の提供を構築していきます。

患者サービスの向上

 利用者満足度アンケートや意見箱を活用し、患者サービスの改善と質の向上に取り組んでいきます。また、DXを活用し、受付・診察・会計などの各プロセスを効率化することで、患者の利便性向上を図ります。

(4)働きがいのある職場環境づくり

医療従事者の確保

 医療従事者の確保に向け、大学での招聘活動や医学生へのPR、専攻医の養成を継続していきます。中高生にはインターンシップや職場体験を拡充し、医療への関心を高める取り組みを推進していきます。加えて、県内全高校へ奨学金制度を周知し、広報を強化して制度の活用促進を図ります。

勤務環境の整備

 勤務環境整備のため、ハラスメント対策チームを中心に相談体制の充実や防止対策を強化しています。また、病棟での2交代制勤務の試験導入を含め、柔軟な勤務体制を検討中です。これにより、スタッフが働きやすい環境を整え、多様なライフスタイルに対応できる体制の構築を目指していきます。

職員満足度・職員エンゲージメントの向上

 目標を明確にし、職員同士の円滑なコミュニケーションを促進することで、やりがいのある職場環境を整えます。また、職員の意見を反映しながら病院の運営を改善し、より良い職場づくりに取組みます。

(5)保健予防活動及び高齢者福祉活動の推進

健康管理活動の充実

 関係機関と連携し検診項目の標準化を進め、受診しやすい環境を整えていきます。人間ドックや検診を通じた生活習慣病予防対策を充実させ、地域住民の健康維持に努めます。これにより、検診受診率の向上と早期発見・早期治療をサポートしていきます。

高齢者福祉事業の取組み

 在宅医療や介護サービス利用のニーズに応えるため、JAや行政、病院の入退院支援室など関係機関との連携強化を図っていきます。地域全体で高齢者を支えるネットワークを構築し、安心して暮らせる環境づくりを推進します。